エアコンを分解すると、内部に横長の円筒形をした部品があります。これが「送風ファン」です。普段は吹き出し口の奥にあるため、取り付けた状態では全体を見ることはできません。しかし、エアコンの空気を室内へ送り出すうえで非常に重要な部品です。

また、実際にエアコンを完全分解していると、送風ファンにはホコリやカビが付着していることが多く、汚れ方を確認するうえでも重要な部分です。この記事では、実際にエアコンから取り外した送風ファンの写真を使いながら、形状、色、役割、素材、汚れ方について解説します。

エアコンから取り外して洗浄した送風ファン
エアコンから取り外して洗浄した送風ファン。横長の円筒形と細かな羽根の形状がよく分かります。

エアコンの送風ファンとは

送風ファンは、エアコン内部で空気を動かすための部品です。室内の空気は、まずフィルターを通り、その後、熱交換器を通過します。熱交換器で冷やされたり暖められたりした空気を、室内へ送り出す役割をしているのが送風ファンです。

家庭用の壁掛けエアコンでは、細長い円筒形のファンが使われていることが多く、「クロスフローファン」や「ラインフローファン」などと呼ばれることもあります。

送風ファンはどんな形をしている?

送風ファンを取り外して見ると、かなり特徴的な形をしています。横方向に長い円筒形で、その周囲には細かな羽根が多数並んでいます。この細かな羽根が回転することで、エアコン内部の空気を吸い込み、吹き出し口側へ送ります。

ファンの外周を見ると、小さな金具が付いていることがあります。これは回転時のバランスを調整するための重りとして使われているものです。位置を変えたり外したりすると、回転バランスが崩れて振動や異音の原因になることがあります。

一枚一枚の羽根は非常に細く、数も多いため、ホコリや汚れが付着すると簡単には落としにくい構造です。

エアコン送風ファンの羽根を拡大した写真
送風ファンを別角度から確認。細かな羽根が多数並んでいる構造が分かります。

送風ファンは何色?

送風ファンの色は、メーカーや機種によって異なります。実際のエアコンでは、黒、濃いグレー、青系、半透明に近い色など、さまざまな色のファンがあります。送風ファンが黒いからといって、必ずしも汚れているという意味ではありません。もともとの樹脂自体が黒色の場合も多いため、汚れを確認するときは、羽根の表面に付着しているホコリやカビを見ます。

送風ファンの素材

家庭用エアコンの送風ファンは、一般的に樹脂で作られています。軽量で、複雑な羽根形状を作りやすく、回転部品として使用しやすいためです。ただし、使用されている樹脂の種類や構造は、メーカーや機種によって異なります。

なぜ送風ファンは汚れやすい?

送風ファンは、エアコン内部でも特に汚れが付着しやすい部品のひとつです。理由の一つは、エアコンが運転している間、常に大量の空気が送風ファンを通過することです。フィルターですべてのホコリを完全に取り除けるわけではないため、細かなホコリはエアコン内部まで入り込みます。

さらに冷房や除湿運転では、エアコン内部の湿度が高くなります。そこへホコリなどの汚れが付着すると、カビが発生しやすい環境になります。

汚れが付着したエアコンの送風ファン
実際に取り外した送風ファン。羽根に汚れが付着している状態です。

エアコンの汚れは送風ファンから始まる?

「エアコンの汚れは、まず送風ファンから始まるのか?」これは一概には言えません。エアコン内部では、熱交換器、ドレンパン、送風ファン、ケーシングなど、それぞれ条件によって汚れ方が異なります。

ただ、実際に完全分解していると、熱交換器の表面は比較的きれいなのに、送風ファンやその周囲のケーシングには強い汚れが付着しているケースがあります。送風ファンは常に空気を動かしているため、細かなホコリが付着しやすく、その汚れが蓄積しやすい部品です。

送風ファンが汚れると、その周囲も汚れやすい

送風ファンが回転すると、その周囲では常に強い空気の流れが発生します。そのため、送風ファンに付着した汚れだけを見るのではなく、ファンの周囲、ケーシング内部、吹き出し口、ルーバーなども一緒に確認する必要があります。

完全分解すると、普段は見えないケーシングの内側や裏側に汚れが残っていることもあります。

送風ファンを取り外した後のエアコンケーシング内部
送風ファンを取り外した後のケーシング。普段はファンの奥に隠れている部分まで確認できます。

吹き出し口から見える黒い汚れだけでは判断できない

エアコンの吹き出し口から中を覗くと、送風ファンの一部を見ることができます。黒い点やカビのような汚れが見えることもあります。ただし、見えているのは送風ファン全体の一部分だけです。実際に取り外してみると、奥側や羽根の裏側に汚れが多く付着していることもあります。

ご自身で送風ファンを掃除する場合の注意点

送風ファンの汚れが見えると、ご自身で掃除したくなる方も多いと思います。ただし、送風ファンは細かな羽根が多数並んだ部品で、力のかけ方によっては破損することがあります。

ご自身で清掃を試みる場合は、まず必ずエアコンのコンセントを抜いてください。停止中でも、誤操作や再通電を避けるため、電源を切るだけではなくコンセントを抜いて作業する方が安全です。

また、割り箸や棒状のものを吹き出し口から差し込んで拭く方法はおすすめできません。棒の角度や力加減によって、送風ファンの羽根が割れたり欠けたりすることがあります。

ウェットティッシュや布を棒に巻き付けて掃除する方法も注意が必要です。回転部分に巻き込まれて内部に残ってしまい、「中に入った布を取ってほしい」という除去依頼をいただくこともあります。

三菱のエアコンはお手入れしやすい機種が多い

三菱電機の壁掛けエアコンには、日常のお手入れをしやすいように考えられた機種が多くあります。機種によりますが、上下風向ルーバーを比較的簡単に取り外せる構造になっているものがあります。

ルーバーを取り外すと安全装置が働き、その状態では運転できない構造の機種もあります。そのため、送風ファンが回らない状態で内部を確認しやすくなっています。ただし、安全装置がある場合でも、清掃時はコンセントを抜いて作業してください。

また、三菱のエアコンでは、風向ルーバーが上方向へ大きく開く機種が多く、送風ファンが見えやすくなるものがあります。吹き出し口からファンの状態を確認しやすく、表面の汚れにも比較的触れやすい構造です。

ただし、見えている部分だけを拭いても、ファンの奥側や羽根の裏側、ケーシング内部まで十分に清掃できるわけではありません。無理に奥まで道具を入れるより、届かない部分があることを前提にした方が安全です。

送風ファン掃除の参考動画

こちらは当店(愛生クリーンサービス)の動画ではなく、他の方が公開されている参考動画です。送風ファンを実際に取り外して洗浄する様子が分かります。機種によって構造は異なりますので、分解作業は無理をせず、作業前には必ず電源を切ってコンセントを抜いてください。

送風ファンは取り外せない?

家庭用エアコンの送風ファンは、簡単に単体で取り外せる構造ではない機種が多くあります。

多くの機種では、送風ファンを外すために熱交換器を持ち上げたり、位置をずらしたりする必要があります。

この作業を無理に行うと、樹脂部品の破損、配管への負荷、冷媒配管の損傷によるガス漏れなどのリスクがあります。そのため、送風ファンだけを無理に抜こうとするのはおすすめできません。

また、ダイキンのリニアモーターファンを除き、送風ファンを取り外す際には固定ビスを外す構造の機種が多くあります。再組み立て時に元と同じ位置へ戻さないと、回転バランスが崩れて異音や振動の原因になることがあります。

一方で、シャープの一部機種では、送風ファンとファンモーターを手前側へ取り外しやすい構造になっているものがあります。このような機種では、送風ファン単体の洗浄はしやすくなります。

また、富士通の一部機種には、熱交換器を壁側に残したまま、送風ファン・ケーシング・ドレンパン側をまとめて外せる、いわゆる「背抜き」がしやすい構造のものもあります。清掃性の高い構造なので、詳しくは別の記事で紹介します。

ただし、送風ファンを外して洗えたとしても、熱交換器やケーシング、ドレンまわりなど、他の部分に汚れが残っていることがあります。

エアコン内部全体の汚れを一度リセットしたい場合は、送風ファンだけではなく、熱交換器やケーシングなども取り外して確認・洗浄できる完全分解の方が状態を把握しやすくなります。

送風ファンを取り外すと汚れの状態がよく分かる

完全分解では、送風ファンをエアコン本体から取り外します。取り外すことで、羽根の表面、羽根の裏側、ファンの端、ファン周囲のケーシングなどを確認できます。取り付けたまま洗浄する方法と比べて、汚れている場所を直接確認しながら洗浄できるのが特徴です。

洗浄前のエアコン送風ファンとケーシング
洗浄前の送風ファンとケーシング。羽根と周囲に付着した汚れを確認できます。
洗浄後のエアコン送風ファン
取り外して洗浄した後の送風ファン。羽根の状態を一枚ずつ確認できます。

高圧洗浄後は、ほとんどの場合専用ブラシで仕上げています

当店では、送風ファンを高圧洗浄したあと、必要に応じて送風ファン用のブラシで羽根の状態を確認しながら仕上げることがあります。

細かな羽根の間には汚れが残ることもあるため、高圧洗浄だけで終わらせず、最後にこうした道具を使って確認することで、よりきれいに仕上げやすくなります。

当店では、高圧洗浄後の仕上げに、ほとんどの場合この送風ファン用ブラシを使っています。

▶ 当店で実際に使っている送風ファン用ブラシはこちら

送風ファンは破損しやすい部品ですので、ご家庭で同じように作業する場合は無理に力をかけないよう注意してください。

お掃除機能付きでも送風ファンは汚れる?

はい。お掃除機能付きエアコンでも、送風ファンは汚れます。

多くのお掃除機能は、フィルターに付着したホコリを自動で除去するためのものです。送風ファンそのものを洗浄する機能ではありません。

そのため、フィルターが比較的きれいでも、送風ファンやケーシング内部にホコリやカビが付着していることがあります。

内部クリーンでファンのカビは取れる?

内部クリーンは、冷房や除湿運転後にエアコン内部を乾燥させ、カビが発生しにくい状態を保つための機能です。

すでに送風ファンに付着しているカビやホコリを洗い落とす機能ではありません。内部クリーンを使っていても、使用環境や使用時間によっては送風ファンが汚れることがあります。

送風ファンだけ掃除すれば十分?

送風ファンは汚れやすい重要な部品ですが、ファンだけをきれいにすればエアコン内部全体がきれいになるわけではありません。

エアコン内部には、熱交換器、ケーシング、ドレンパン、吹き出し口など、ほかにも汚れが付着する場所があります。

特に送風ファンの奥側やケーシング内部は、取り付けたままでは確認しにくい部分です。内部全体の状態を確認したい場合は、送風ファンだけではなく周囲の部品も含めて見る必要があります。

送風ファンはエアコンの汚れを見るうえで重要な部品

送風ファンは、単に風を送るだけの部品ではありません。実際に完全分解してみると、エアコン内部の汚れがどのように付着しているのかを見るうえでも非常に分かりやすい部分です。

特に、吹き出し口に黒い汚れが見える、エアコンからカビ臭いにおいがする、長期間クリーニングしていない、といった場合は、送風ファンにも汚れが付着している可能性があります。ただし、汚れ方は使用環境や機種、使用頻度によって異なります。

送風ファンの汚れやエアコン内部の状態が気になる場合は、どうぞご遠慮なく当店までお問い合わせください。

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